ふたたび 天山にて
『佐賀勤労者山岳会』会員 M.Oさんより
『ふたたび 天山にて』は、たぶん世界で、最も『天山』を愛しておられる方から、
佐賀勤労者山岳会の年報に寄稿されたもので、ひょんな事から私の手元に届いた文章です。
僕が歩いた山の風景の『天山(2)』
とも縁のある話で、
皆さんにも紹介したくてここに載せました。
私だけが見つけた、野や山に咲く花、山中で出会った樹木、そして大切な美しい自然の風景・・・。
自分が素晴らしいと思った事を誰かに伝えたい。 その良さを分ってもらいたい。
そんな思いが、結果として、大切な自然を傷つけてしまう事になる・・・。
大変悲しい事です。
『ふたたび 天山にて』には、私が時折遭遇するそんなジレンマが素直に表現されていて、
自然を愛すると言う事と、自然を大切にすると言う事が、どんな事なのかを考えさせてくれます。
ここでは、私の意見は差し控えて、寄稿されている全文を紹介させて頂きます。
ふたたび 天山にて
M.O
天山を登り始めてから10年を過ぎた。
10年後の今でも飽きもしないし、それどころか私にとって思いは募る山。
どこの山もそうなのかも知れないが、冬良い山は夏も良い。
春良い山は秋も良い。
北風に吹きっさらしの山頂。
ますます美しさを増したミヤマキリシマ。
私だけのものだった満月の山頂。
やさしいやさしい秋の山。
遠くの山へ行くことがままならない今、私にとって天山の昨年のミヤマキリシマは、目を見張った。
年毎に鮮やかさを増してはきていたが、この山を経験して以来の美しさであった。
本場大分の人にも声をかけ、また、山を経験したことのない人も、案内した
多くの人に見てもらいたいとS新聞に情報を提供。
即取材され、6/5(火)の一面を飾った。
6/7(金)にはY新聞にも紹介されていた。
新聞報道の威力は相当なもので、6/10(日)は お正月の初日の出以来の人で山は賑わった。
いつもの天山とは違う…。そんな雰囲気に少し戸惑い、慌てながらも私も楽しんでいた。
恥じらいながらも、ちょっとだけ胸を張り、微笑んでいる天上の花たち。
けれどもこの新聞を見て苦情が来たとのこと。
人の目に触れれば必ず荒らされるのにどうして新聞に載せたりするのか….と。
写真を撮るために中に分け入る。
ごみを捨てていく。
根こそぎ持ち帰る。
これは誰より先に私が一番に心配したこと….。
私だけ楽しんでおいたほうが良かったのかも知れない。
自分の満足のために大きく取り上げてもらったわけではないはずなのに…。
そんな思いを昨年から引きずり今年のミヤマキリシマをまっている今。
花の精たちはその時を待って今、深い眠りについている。
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