黒髪山幻想(3)  



たそがれ時の散策の後、それぞれが散策で感じた黒髪山のイメージを4文字熟語で紹介する。
個性の違いが漢字になって現われる。
漢字の文化は、アナログの文化だと思う。
字の持つ表現力に微妙な連続した広がりが有る。
本来単語として存在しない四文字熟語の漢字だが、その四文字は紹介する人の個性を雄弁に物語る。


第二章   − 夜 − 


夕食後 身支度を整え
再び外に出る

外は夜の空気で満ちている








森への入り口

側溝より流れ出る小川の中

懐中電灯の光の中に

たくさんの 小さな川エビの目が赤く輝く

エビのほかに ドンコも・・・


夜の 小さな小川に

たくさんの 命が息づく






懐中電灯の明かりを頼りに

森の中を歩く

これだけの人数が居ると

怖さは全く感じない

ある種の高揚感があり どこか心が弾む


夜の森は


全てが

冒険の世界



  足元が不安な中
         ハゲワシ砦の岩場を登っていく



    全ての明かりを消し
                  夜の闇を体感する


             夜の闇に



    微かに
           山の端が
                   見えてくる





耳を澄ます

頬を打つ 冷たい風

湖面をを渡る風が 背の高い木の梢の葉を叩く





冷たい風に 雪が舞っている

闇の中 懐中電灯の光の柱の中を

雪が舞っている




カメラのフラッシュを焚くと
暗闇に 雪が輝く

1度 2度 3度

雪が星の様に煌く

フラッシュの閃光は
夜の闇に吸い込まれ
落ちてくる雪だけを
ダイヤモンドように照らし出す

予想もしない光景に思わず歓声






夜の空に舞う 百万の雪は

カメラの中に

夏の夜の 満天の星の様に煌いていた













   暗い岩場を

   注意しながら降りる











森を出る頃には
雪は上がり

何時の間にか

星座を数える事が出来るくらい

本当の星が煌いている


幻想に満ちた

黒髪の

夜の森の散策 の終わり



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